「うちで受けることが大事ではない」|える訪問看護ステーションの理念と、人の育て方

この記事の要点(一問一答)

Q:える訪問看護ステーションは、どのような訪問看護を目指していますか?

A:利用者が住み慣れた地域で、その人らしく暮らし続けることを支えることを目指しています。理念は「全部、真っ当に全う」です。代表の河添は、契約の場で「訪問看護サービスを継続的に受けることが大事であって、うちで継続して受けることが大事ではない」と説明しています。自社に囲い込まないこと、できないことはできないと伝えることを前提に、門真市・守口市を中心とした大阪府北部で、主治医やケアマネジャーと連携しながら在宅療養を支えています。

つまり、える訪問看護ステーションが大事にしているのは、選ばれ続けることではなく、その方の在宅療養が続くことです。以下では、理念、地域のなかでの関わり方、そして職員をどう育てているかを、順にご説明します。

理念「全部、真っ当に全う」が、契約の場に現れています

理念は「全部、真っ当に全う」です。言葉だけを見れば抽象的ですが、実際の運用にそのまま現れています。最もわかりやすいのが、契約時の説明です。

代表の河添は、利用者とご家族に対してこう伝えています。

訪問看護サービスを継続的に受けることが大事であって、うちで継続して受けることが大事ではないんですね

これは、える を選び続けてもらうことを目的にしない、という宣言です。契約解除は利用者の権利として説明します。「人が人と人なんで合わないがあると思いますので」と、相性の問題を先回りして認めることもあります。事業者側の都合で継続を促すのではなく、その方の在宅療養が続くことを優先する、という考え方です。

料金の説明も同じ姿勢で行います。具体的な金額を並べて安さを訴えるのではなく、介護保険なのか医療保険なのかという判定から入り、仕組みそのものを説明します。金額は例示にとどめ、一人ひとりの条件に応じて契約時にご案内します。キャンセル料のように利用者にとって不利になりうる情報も、隠さずに先にお伝えします。

嘘をつかない。隠さない。できないことはできないと言う。説明の途中では「何か質問ありますか」と問いかけ、疑問を残さないようにする。理念を運用に落とすと、この形になります。

担当制を置いていません

訪問看護では担当制を採る事業所もありますが、える訪問看護ステーションは担当制を置いていません。訪問のたびにスタッフが変わる場合があります。

理由は二つあります。一つは、緊急時に「初めまして」にならないようにするためです。特定の一人だけが状況を把握している状態では、その担当者が対応できない場面で、利用者が初対面のスタッフを迎えることになります。複数のスタッフが日頃から関わっていれば、その事態を避けられます。

もう一つは、多角的な視点でケアの質を高めるためです。一人の目で見続けると、変化を見落とすことがあります。複数の目が入ることで、気づきが重なります。

この設計は、職員の側から見ると、一人で抱え込まない構造でもあります。利用者にとっての安全確保と、働く側の負担分散が、同じ仕組みの表と裏になっています。

できることと、できないことを先にお伝えします

在宅で対応した実績のある処置には、人工呼吸器(TPPV・NPPV)、HFNC、喀痰吸引、経管栄養、在宅中心静脈栄養(IVH)などがあります。これらは数ある対応処置の一部です。いずれも医師の指示に基づいて実施します。看護師の業務では、終末期・がん看護を含む在宅支援に携わっています。

夜間は看護師がオンコールで待機し、ご連絡を受けたうえで、必要と判断した場合に訪問します。休日も訪問しています。お盆、ゴールデンウィーク、年末年始、大晦日も訪問に回っています。ただし休日の訪問予定は、重症の方やターミナル期の方を中心に組んでいます。すべての利用者の方に休日訪問を行うわけではありません。

一方で、お約束できないこともあります。緊急性が高い方が優先になります。電話で解決できることは電話で対応する、という運用です。休日や夜間に動く体制は、必要な方に必要なだけ届けるために置いているもので、必要のない訪問を増やすためのものではありません。

これらを先にお伝えするのは、依頼する側が判断できるようにするためです。「契約すれば安心です」とは申し上げません。対応できる範囲と、できない範囲の両方を示したうえで、それでも条件が合うかどうかを検討していただく。その順番を守ることが、理念の中身だと考えています。

地域のなかでの関わり方

拠点は二つです。門真市元町の門真事務所と、豊中市上新田の豊中サテライトから訪問しています。訪問できる地域は、門真市・守口市を中心に、高槻市・枚方市を除く大阪府北部です。

職員体制は、看護師15名、理学療法士4名、言語聴覚士1名です。訪問看護ステーションとして、機能強化型Ⅰを取得しています。

掲げているのは「地域のHCU」という役割です。「家に帰りたい」「家で過ごしたい」という思いを持っていても、受け皿がなければ実現しません。その受け皿になることを目指しています。対象は、重症の方や看取りが近い方に限りません。

そのため、ご依頼をいただいたら即時に動き出します。連携している病院、訪問診療、居宅介護支援事業所と協調し、即日の介入を行うことも多くあります。退院の話が出てから初回訪問まで時間が空くと、その間に在宅療養という選択肢そのものが立ち消えになることがあるためです。動き出しの速さは、その方の思いを実現できるかどうかに直結します。

訪問看護は、単独で成り立つ仕事ではありません。開始には主治医が交付する訪問看護指示書が必要です。介護保険を利用する方であれば、ケアマネジャーが立てるケアプランのなかに位置づけられます。退院してそのまま在宅療養に移る場合は、病院の地域連携室との調整が入ります。

つまり訪問看護は、医師、ケアマネジャー、病院、リハビリ職、そしてご家族が関わる在宅療養全体の、一つの構成要素です。多職種連携を前提に、在宅生活そのものを支えるという考え方を、業務の土台に置いています。える が抱え込むのではなく、地域の資源の一つとして機能することを目指しています。

職員をどう育てているか

中途採用が大半です。そのため、安心して訪問できるようになるまで、同行訪問を通じて段階的に自立してもらう進め方をとっています。

いきなり、がん末期の方のところへ一人で訪問してもらうことはありません。介護保険の枠の方から順に、担当できる範囲を広げていきます。一人で訪問できるようになるまでの期間は、早い方で1週間、平均すると1か月程度です。

自立したら終わり、ではありません。訪問件数に余裕があるときや、「興味はあるけれど一人で行くのは不安だ」という場面では、上司や同僚が一緒に訪問します。これは新人に限った話ではなく、経験を重ねた職員にも適用される運用です。担当制を置いていないことが、ここでも効いています。

学習に必要な書籍は、会社が全て購入します。学会などへの参加費、移動費、宿泊費も負担しています。知識を更新し続けることは個人の努力の問題ではなく、事業所として整えるべき条件だと考えているためです。

働き方については、オンコールを希望制としています。募集している職種は、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士です(准看護師は募集していません)。訪問看護の未経験者も応募の対象に含めています。段階的に自立する仕組みがあることが、その前提になっています。

お問い合わせ

える訪問看護ステーションでは、訪問看護のご相談、事業所の見学、採用に関するお問い合わせを受け付けています。ご本人・ご家族からのご相談も、ケアマネジャーや医療機関を通じたご相談も承ります。依頼するかどうかを決める前の段階でも構いません。できること・できないことを含めて、お答えします。


最終更新日:2026年7月16日
監修:える訪問看護ステーション(株式会社える)
門真事務所:大阪府門真市元町8-4 アンシャンテ高宮1階(門真市駅 徒歩5分)
豊中サテライト:大阪府豊中市上新田1-10-10-306

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