序論
日本の高齢化社会において、がん、心疾患、肺疾患、老衰などの慢性疾患は増加の一途を辿っています。これらの疾患に対する診断・治療技術も進化していますが、それでもなお疾患の進行とともに患者とその家族が直面する問題は少なくありません。この記事では、各疾患の予後と訪問看護の適正な介入時期について解説します。
第1部:各疾患の予後
1.1 がん
- 予後:ステージ、種類、治療方法によって大きく変わる。
- 特徴:進行が速いケースもあり、急に病状が変わることがある。
1.2 心疾患(心不全を主に)
- 予後:病型や重症度、合併症の有無に依存。
- 特徴:安定期と急変期があり、急激な悪化が生じる可能性がある。
1.3 肺疾患
- 予後:慢性的に進行し、急性増悪を繰り返す。
- 特徴:日常生活動作の制限が徐々に増加。
1.4 老衰
- 予後:高齢による体力・機能の低下が主。
- 特徴:急激な病状の悪化は少なく、長期にわたるケアが必要。
第2部:訪問看護の適正な介入時期
2.1 がん
- 早期介入:治療の副作用管理、情報提供
- 中期介入:症状管理、精神的サポート
- 末期介入:緩和ケア、家族へのケア指導
がんは発症部位、種類、年齢、ステージ、などで進み方が違ってきます。
治療から緩和ケアの要素が大きくなってくる時期、更に治療を続けるか緩和ケア病棟で過ごすか自宅で過ごすかの選択があります。あまりにも展開が早い場合はこの決断が早急に迫ってくる場合もあります。逆にゆっくりであれば、自宅への外泊などをはさみながら、ゆっくり思案することが可能であったりもします。
病院⇔自宅を外泊などではさみだす☆のタイミングから訪問看護が介入することで、状態の把握や調整にゆとりを持ち、穏やかに過ごす支援もしっかりおこなえるため、緩和ケアの要素が大きくなってきた段階で一度訪問看護にアクセスしてもらえることが最適と考えています。
2.2 心疾患(心不全を主に)
- 早期介入:リハビリテーション、食事指導
- 中期介入:急変時の対応、療養生活のサポート
- 末期介入:自宅での末期ケア、心のケア
心不全などに代表される心疾患では、増悪と緩解を繰り返しながら、徐々にADL(=日常生活動作能力)が低下していきます。心不全は自己管理が肝です。それが破綻していくと、生活習慣の悪化→心不全の増悪→入院→安静期間→ADLの低下のサイクルにはまっていきます。だからこそ、自己管理で水分や食事や塩分量などをみながら、生活習慣が破綻しないように指導し教育し見守ります。
また、心不全の徴候が見られた際、早急に医師に相談し服薬調整や受診の指示をもらい改善を図ることで、入院が必要なレベルまで悪化させないというアンテナとしての機能もあります。
つまり、心不全と診断されて在宅に復帰した段階から訪問看護やリハビリテーションが介入することが適正であると考えています。
2.3 肺疾患
- 早期介入:呼吸リハビリテーション、吸入指導
- 中期介入:酸素療法の管理、感染予防
- 末期介入:緩和ケア、患者・家族教育
COPDや喘息などに代表される肺疾患の経過も心不全と類似しています。
ここで大きく違うのが不安度です。呼吸が苦しいというのは非常に恐ろしい事です。肺疾患患者はその恐怖と隣り合わせで日常を送っています。その恐怖を克服する術として吸入薬や酸素療法やリハビリテーションを用いるわけです。しかしこのような取り組みも落ち着いていないとなかなか習慣として根付きません。
診断後、在宅復帰してすぐから病院の治療やリハビリテーション引き継ぎつつ継ぎ目なく介入することで習慣化します。そして、日々の生活のなかで生じた呼吸困難に対する対策などを話し合い、解決策を見いだしていくことで不安の軽減に努めます。
「不安」と聞くとたいしたことでないように聞こえますが、不安は息苦しい状況を更に息苦しくする非常に厄介なものです。
実際に、訪問看護やリハビリテーションが介入することで緊急の受診や救急搬送の件数が激減した利用者も数多くいます。
つまり、肺疾患と診断されて在宅に復帰した段階から訪問看護やリハビリテーションが介入することが適正であると考えています。
2.4 老衰
- 早期介入:日常生活動作の維持、予防介入
- 中期介入:介護負担の軽減、生活品質の維持
- 末期介入:家族のケアサポート、緩和ケア
なだらかに経過を辿ります。そして前述してきた内容に比べて経過が非常に長くなります。そのため、家族の負担も大きくなります。日常の維持として服薬の管理やリハビリテーションの介入を主としていき、その中で家族への介護方法の指導や思いの傾聴などを通して、トータルでサポートしていきます。
ただ、介入のきっかけは乏しいため、何らかの不調があったタイミングで現状の見直しを図り、様々な在宅サービスの導入をするなかで訪問看護を選択されるといいと思います。
最期の最期、悪くなってから介入では状況判断が難しい場面もあります。
第3部:総合考察
各疾患にはその特性と進行に応じた訪問看護の介入が必要です。がんや心疾患では急激な病状変化に備え、早期からの介入が望まれます。肺疾患では持続的なケアと急性増悪への対応が必要です。老衰では長期にわたるケアが中心となります。
訪問看護師自身も、疾患の特性と患者の状態を把握し、適切なタイミングでの介入が求められます。そのためには、多職種との連携と患者・家族とのコミュニケーションが不可欠です。
結論
がん、心疾患、肺疾患、老衰といった疾患はそれぞれ異なる進行と予後を持っています。そのため、訪問看護の介入時期も疾患の特性に応じて柔軟に設計する必要があります。患者とその家族が最良のケアを受けられるよう、訪問看護師が持つべき知識とスキル、そして何よりも患者中心のケアが求められます。
訪問看護の専門家として、この記事が皆様のサービス向上に貢献できれば幸いです。
以上が、がん、心疾患、肺疾患、老衰の予後と訪問看護の適正な介入時期についての解説です。この情報が訪問看護の実践に役立つと考えます。
える訪問看護ステーションでは、守口市・門真市・大阪市・寝屋川市を中心に、急性期経験の豊富な看護師・リハビリテーション職種を採用しており、どのような疾患や病態の方にも適切に対応可能です。地域の病院・往診医・ケアマネジャー・ヘルパーなど利用者を取り巻くすべての方と密接かつフラットかつ迅速かつ正確に情報共有を実践しています。より良い在宅生活の獲得を皆さんと共にすすめていければと思います。
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