本記事の主読者は、医療依存度の高い患者の退院調整を担う病院の地域連携室と、在宅サービスの司令塔であるケアマネジャーです。「気管切開とTPPVを併用している」「CVポートからの抗がん剤投与が継続する」「在宅IVHと褥瘡管理が同時に必要」といった複合的なニーズを持つ方の在宅移行を検討する際、訪問看護ステーションがどこまで担えるのか、特別管理加算の対象処置はどう整理されているのかを、門真市・守口市で活動するえる訪問看護ステーションの実務に沿って解説します。
訪問看護で対応できる主な医療処置の全体像
訪問看護で対応できる医療処置は、主治医の訪問看護指示書に基づき、訪問看護師が在宅で実施するものです。える訪問看護ステーションでは、ICU・急性期病棟での勤務経験を持つ看護師が在籍しており、医療機器を併用するケースや複数の処置が重なるケースにも、観察項目を整理しながら対応する体制を整えています。
具体的に対応している処置領域は次のとおりです。いずれも医師の指示に基づき、必要に応じて主治医・専門医・退院元の病棟と連携しながら実施します。
- 呼吸器管理:HFNC(高流量鼻カニュラ酸素療法)、NPPV(非侵襲的陽圧換気)、TPPV(気管切開下陽圧換気)、在宅酸素療法(HOT)の機器管理と吸引・回路交換
- 気道管理:気管カニューレの管理、カフ圧確認、気管内吸引、加湿・スピーチカニューレへの切替えサポート
- 疼痛・症状管理:PCAポンプによる麻薬(モルヒネ・フェンタニル等)の持続皮下注・持続静注、レスキュー投与の評価
- 栄養管理:CVポート・在宅IVH(中心静脈栄養)、PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)からの経管栄養、経鼻胃管管理
- 排泄管理:膀胱留置カテーテル、腎瘻・膀胱瘻カテーテル、ストーマ(消化管/尿路)装具交換と皮膚障害アセスメント
- 創傷管理:褥瘡(DESIGN-R®2020に基づく評価)、術後創、瘻孔周囲皮膚、難治性創傷の処置
- がん終末期・緩和ケア:症状コントロール、家族支援、看取り期のターミナルケア
特別管理加算とは何か:対象処置と算定要件の整理
特別管理加算は、医療依存度が高い利用者に対して、訪問看護ステーションが計画的な管理を行った場合に算定できる加算です。算定区分は厚生労働省告示に基づいて区分Iと区分IIに分かれ、対象となる状態が明確に定められています。
区分Iに該当する代表的な状態は次のとおりです。
- 在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている方(PCAポンプによる持続注入等)
- 在宅気管切開患者指導管理を受けている方
- 気管カニューレを使用している方
- 留置カテーテル(膀胱留置・腎瘻・膀胱瘻等)を使用している方
区分IIに該当する代表的な状態は次のとおりです。
- 在宅自己腹膜灌流(CAPD)を行っている方
- 在宅血液透析・在宅酸素療法・在宅中心静脈栄養法・在宅成分栄養経管栄養法・在宅自己導尿等を行っている方
- 人工呼吸器を使用している方(TPPV/NPPV)
- 点滴注射を週3日以上行う必要がある方
- 真皮を越える褥瘡(NPUAP分類III度・IV度、DESIGN-R®でD3以上)がある方
- 人工肛門・人工膀胱を造設している方
該当する処置や状態が複数ある場合でも、区分は1区分のみの算定となります。算定にあたっては、指示書・訪問看護計画書・報告書のいずれにおいても、対象状態と看護内容の整合がとれていることが必要です。えるでは、訪問開始時点で対象状態を確認し、主治医・連携室と要件を共有したうえで算定区分を確定する運用を取っています。
処置別の在宅移行ポイント
TPPV・気管切開を併用するケース
TPPV(気管切開下陽圧換気)を継続する方の在宅移行では、人工呼吸器本体と外部バッテリー、アンビューバッグ、吸引器、加温加湿器、予備のカニューレと回路の搬入計画を、退院前カンファレンスの段階で機器業者・主治医と確認します。停電時の対応手順、回路交換の頻度、カフ圧管理、痰の性状観察、SpO2の評価ポイントを家族に説明し、初回訪問では呼吸状態のベースラインを記録します。ICU・急性期での人工呼吸管理経験は、こうしたベースライン設定とアラーム対応の判断に直結します。
CVポート・在宅IVHのケース
CVポート(皮下埋め込み型中心静脈ポート)を用いた在宅IVHでは、ヒューバー針の穿刺・抜針、輸液ラインの管理、感染兆候の早期発見(穿刺部発赤・熱感・体温上昇)が中心となります。化学療法後の方や栄養補給目的の方では、目的に応じて観察項目が変わるため、退院サマリーから治療経過を読み取り、看護計画に反映します。
PCAポンプによる疼痛管理
がん終末期で麻薬の持続皮下注・持続静注を継続する方には、PCAポンプの動作確認、薬液残量、レスキュー回数、痛みのスケール(NRSなど)の評価を行います。在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている方は特別管理加算(区分I)の対象となり、ターミナルケア加算の算定要件にも関係します。家族へのレスキュー押下のタイミング指導も訪問時の重要項目です。
留置カテーテル・ストーマ・褥瘡
膀胱留置カテーテル使用中の方は、尿量・尿性状・閉塞兆候の観察、固定方法、清潔保持の指導が中心です。ストーマ造設者には、装具のサイズ選定、皮膚障害(ABCD-Stoma®等)の評価、外来通院との役割分担を整理します。真皮を越える褥瘡(DESIGN-R®でD3以上)の方は、洗浄・ドレッシング材選択・体位変換計画・栄養評価まで一体で管理します。
える訪問看護ステーションが医療依存度の高いケースに取り組む体制
える訪問看護ステーションは、門真市・守口市を中心エリアとし、医療依存度の高い患者の在宅生活を支えることを事業の中心に据えています。
- ICU・急性期病棟経験者が在籍:人工呼吸器・循環動態・鎮静管理を経験した看護師が、在宅でも観察項目を体系的に組み立てます
- 24時間連絡体制:緊急時訪問看護加算に基づき、夜間・休日も主治医と連絡を取りながら対応します
- 退院前カンファレンス参加:医療機器の搬入計画、家族指導の段取り、サービス担当者会議までを継ぎ目なく調整します
- 多職種連携:在宅医・薬剤師(無菌調剤対応薬局)・福祉用具・ケアマネジャーと密に情報共有し、訪問看護報告書を月次で発信します
※当ステーションの対応可否は、利用者の医学的状態・主治医の指示内容・地理的条件により個別に判断します。
病院連携室・ケアマネジャーの皆さまへ
退院調整中の患者で、医療処置の継続が必要なケースや、特別管理加算の対象状態に該当しそうなケースがございましたら、退院前カンファレンスの設定段階からお気軽にご相談ください。主治医の指示内容・医療機器の種類・在宅環境を確認したうえで、お受けできる範囲を率直にお伝えします。
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